2007年03月05日

シーサー修行の日々⑤

陶芸の工房で働けなくなった私は、もう、漆喰をするしか道は残されていなかった。
幸い漆喰は、自然乾燥で乾かし、アクリル絵の具を使って仕上げる為、窯が要らず、独立するにも元手がほとんど掛からないのである。
 
漆喰は製造元から取り寄せると23キロで1600円。ちなみにお土産屋で売っている漆喰は、500グラムで1200円もする。
漆喰は屋根の上にふんだんに付ける物だから、絶対にそんなに高い物ではないと思っていたけれど、ここまで安いとは思わなかった。
 
元手は掛からない物の、漆喰で自己流で作ったシーサーはどれもひどい出来映えで、とても自己流ではやって行けそうもないと思い、どこか弟子を募集してないか捜す事にしたのだが、募集は見つからなく、例え見つかったとしても、自分が尊敬出来る、好きなシーサーを作っている人でないと意味がないと思った。

自分が好きでないシーサーを作る人の元で修行しても、また同じことん繰り返しで作りたくない顔のシーサーを何個も何個も仕事だからと言って作るのは耐えられないと思った。
 
それで私の一番好きなシーサー作家の人に手紙を書いてみる事にした。
いきなり弟子にして下さいと書いてはあまりに不躾なので、作品をすごく好きな事と、自分も陶器でシーサーを作っていた事と、昔の作品を見たいと言う事などを、私の小さいシーサーを同封して送った。
返事をもらえるかどうか分からなかったけど、とにかく何か行動をしなければ始まらないと思ったのだ。
 
その間も、自己流で漆喰シーサーを作っていたが、相変わらず売り物になる様な物は作れず、もういいやと思って肩の力を抜いて何も考えずに適当に作ってみたら、あれって言うような、思いがけずいい感じの作品を作れる事が出来た。
 
そうか、漆喰と土とでは素材が全く違うのに、私は土でシーサーを作るのと同じ様に作っていたからダメだったんだ、漆喰には漆喰の持ち味がある、そう気付いて、土で学んだ技術を一旦捨てて、適当にどんどん気の向くまま作って行ったら、次々にいい感じの作品が作れた。
 
形が作れたら今度は色塗りだが、これも、土では濃淡にムラのないよう、はみ出さない様に塗るのだコツだが、漆喰では焼くと言う過程がないので、はみ出しても、ムラがあってもいいじゃないか、所々薄くても濃くてもそれがかえって味になる事に気付き、適当に塗ってみたら、売り物として通用する作品に仕上げる事が出来た。


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Posted by 川島陽子 ・ ひだまりみかん at 20:06│Comments(0)シーサー修行の日々
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